「私の名前は安部響子。どなたにも迷惑をかけない因果応報のハッキングで生計を立てております。以後お見知りおきを」 作中より引用
あらすじ
ネット上でのなりすましとカードの不正利用の被害に遭った肇。
犯人捜しの末にたどり着いたのは隣人の美女・安部響子だった。
彼女に誘われ、ハッカー集団ラスクの一員として活動を始める肇。
トラブルを放置する悪質企業を攻撃して謝罪と賠償を行わせる、世直しともいえる活動は世界の支持を集めるが、警察の捜査の手も迫り…。
引きこもり美女と変わり者の青年が大金を狙う、スリリングな快作!!
引用:本書あらすじ
どんな作品?
現実世界でも十分にありうるサイバー犯罪をテーマにしたサイエンスフィクション作品です!
たまたまネットショッピングで身に覚えのないラスク(3000円)が購入されていることに気づいた平凡な主人公である肇が、同僚である佐藤に相談したところから物語は始まります。
なんとか犯人を突き止めようと動きました。
そして犯人を特定したところ、このネットショッピングの不正利用は謎のハッカー集団ラスクへの入隊試験でした!
その試験に合格した肇でしたが、テストされたことが癪に障り自力でボスを突き止めてやると意気込みテスト結果をボスには内緒にしてくれと試験官にお願いします。
引退予定の試験官ですらボスの顔を知らないといい、ラスクのメンバーの誰もお互いのメンバーの情報を共有していないという徹底ぶりの組織に挑む肇。
少し調査をしているうちに手がかりをつかみます。そして罠を張り、なんとたまに挨拶していた隣人の美女がボスであることを突き止めてしまいます。
まさか突き止められるとは思っていなかった美女ハッカー安倍響子は改めて肇を組織へ勧誘します。安部は非常に虚弱な体質で、特に人間と会話をすると5分で気分が悪くなるといった始末。そんな状態で肇を組織へ勧誘します。
しかし、犯罪はダメという肇。
その後、何度か交流するうちに安倍が言った「生き方を変えられない人間」という言葉に考えさせられ、試験官との会話により自分が安部と似ている人間であることに気づき始めます。
次に安倍に会ったときには、自分も無意識のうちに組織に入ると安倍に回答します。
ついに一般人がハッカー組織の一員として活動することになります。
ハッカー組織ラスクは、悪いことをやっている企業のみをターゲットにする現代版鼠小僧のような組織です。
そして安部と直接やり取りができる初めてのメンバー肇の加入によりラスクは最初で最後で最大の大規模ハッキングを実行することになります!
ラスクは何をするのか!?
ラスクは最終的にどうなるのか!?
組織の一員として安部と共に活動する肇はどうなるのか!?
先の展開が気になるサイエンスフィクションの名作です!
おすすめポイント
・非常にリアルなサイバー犯罪の一端を学ぶことができる。
ハッキングの手口が分かりやすく描写されています。ネット上で個人情報を集める。ボットを利用し企業のサーバーにDoS攻撃をしかける。サイトの広告にプログラムを仕込み多くのユーザを当人たちが全く気付かないうちに踏み台として利用する。(一般人には迷惑をかけない)こんな描写が多くあり勉強になりました!
警察側も黙っているわけにはいかないので違法な手法でラスクメンバーの洗い出しを行っており、国というのはやろうとすればなんでもできるということを思い知らされました…(笑)
SF小説ではありますがITリテラシーが向上すること間違いなしです!
まとめ
サイバー犯罪をテーマにした爽快感のある作品です!
ITに興味のある方はこの機会にぜひご一読ください!
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